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赤外線写真

 赤外線は赤色より外側にあり、波長の長い光で、写真としては700nmから1400nmの範囲と言われますが、長い間赤外線フィルムと呼ばれる特殊なフィルムにより記録されてきました。
しかしながら、その赤外線フィルムで写せる赤外域は750nm前後まででしたが、現在のデジタルカメラのCCDは、実は赤外線フィルムより幅の広い情報を記録できます。

モノクロ画像 SC-72
IR-84 IR-96

 しかしながら赤外線画像は、ピントの位置が可視光線と違い、画像のピントを甘くしてしまいます。ですから、市販されているデジタルカメラでは、赤外線域をカットするフィルターが内蔵されています。
 逆に赤外線写真として撮影するには、「可視光線域」をカットしないと撮影できません。
ましては赤外域は可視域に比べ、同じ画素数の画像であっても、解像度が悪くなります。  しかも、波長が長くなるにつれて、解像度も極端に悪くなります。

モノクロ画像のアップ SC-72画像のアップ
IR-84画像のアップ IR-96画像のアップ

 赤外域は完全な白黒画像ではありませんが「モノトーン」の画像しか得られません。
実は先ほどの赤外線写真も、色は存在します。

カラー画像 SC-72
IR-84 IR-96

 ごらんのように、可視光線に近い位置は赤みを帯びたモノトーンですが、徐々に無彩色へと変化します。

 赤外線写真は考古学でよく使われ、発掘された木簡などに書かれている、消えかかった墨文字の判別に威力を発揮します。木片や染料には反応しませんが、顔料や墨などの鉱物性の物質は、赤外線を吸収して、黒く写ります。
 これは木簡の表面では消えていても、実は木の繊維内部には墨の残留物が残っていることが有ります。 赤外線は薄いものは透過する性質があり、内部に残った墨を画像として写し出すことが出来ます。 ただこれは木部や紙などの内部に浸透して残っている場合ですが、例えば板の上に紙を貼り、その上に書かれ、その紙の部分が剥がれてしまったもの、あるいは神社の絵馬の様に斜め下向きに掲げられ、風雨にさらされた場合、ほとんどの場合墨の炭素は板の内部に残っている事はありません。 では、赤外線を使えば、それらの画像は鮮明に浮かび上がるか?と言えば、そうでもありません。  しかも、色として分離は出来ませんし、可視域を除いたはずの赤外域だけの画像であっても、決して墨文字だけがくっきりと浮かびあがるものではありません

現状画像 赤外線画像 復元画像

 ですから、これを復元に用いたとしても、一般的には書かれている文字の判読が出来る程度にとどまります。
しかし、それではとても「原寸大」の高品位のレプリカの製作は難しくなります。
仮に赤外線写真が、解像度やトーンの分離が難しいと言っても、出来ないということではありません。物事に不可能と言うことは無く、人は諦めるから不可能となります。この「デジタル画像による文化財復元」と言う技術も、一昔前には不可能と思われていたことを可能としました。

 この赤外線撮影に関しても、根気よく試行錯誤を繰り返せば方法は見つかります。数年前の話ですが、一般的に「赤外線フィルム」と呼ばれるものは35ミリ判がほとんどで、ただでさえも粒子が粗く、解像度が低いものですから、拡大しても粒子しか見えてきませんが、日本でも一部ブローニー判と呼ばれるサイズの赤外線フイルムがありました。  それを使えば、35ミリ判よりは細部のディテェールを確認できますが、それでもモノによってはレプリカの製作には程遠いものがあります。そこで他にもっと大きな赤外線フィルムはないかと探しましたが、赤外線フィルムはただでさえも見えない光でカブリますから、シートフイルムは特に取り扱いが難しく、コダックでさえ4×5判の赤外線フィルムの製造をやめておりました。
 しかしながら、ドイツの感剤メーカーに4×5や8×10サイズのフイルムがあることが判り、それを取り寄せ使っていました。

35ミリ判赤外線画像 8×10赤外線画像
35ミリ判赤外線画像のアップ 8×10赤外線画像のアップ

ただ赤外線フィルムは、一般的に現像所でも現像は受け付けておりませんので、自家現像の設備を必要としますし、目に見えない光でカブリますから、なおさら現像は難しくなります。

 現在はデジタルカメラを用いていますので、現像の必要性はありませんが、フイルムでの撮影と同じ理屈を用いれば、たとえ赤外線撮影画像であっても、十分にシャープな画像を得ることは不可能ではありません。

高精細赤外線画像 超高精細赤外線画像
現状画像 復元画像

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